Q2、マルチスキャンヘリカルCTによるパーフュージョンCTが最近話題になっています。脳梗塞の急性期診断が可能とのことですが、どのような検査でしょうか?。

 

A、動脈硬化が進行すると動脈壁の硬化に引き続いて血管内腔の狭窄を来たし、進行するといずれ内腔が閉塞し血流が途絶えてしまいます。脳梗塞で代表される脳虚血性疾患は動脈が完全に閉塞する前の段階、すなわち脳の血流が低下してきた段階でこれが判れば血流を改善させる治療を開始し、脳の不可逆的な変性を予防できるわけですが、従来のCTやMRI撮影の画像の検討では脳動脈が閉塞し、脳梗塞が完成して脳の組織が不可逆的に変性してからでないとはっきりと画像として認識されないため、早期の診断は難しいと言われて来ました。脳梗塞が完成してしまってからでは薬による治療があまり効果を発揮しないので、脳梗塞を急性期に診断し、適切に治療するには脳動脈の閉塞が完成しない段階での脳血流動態検査が必須であるとされています。しかし、脳血流検査を行うにはSPECT、PET、Xenon吸入装置など高価で特殊な装置と特殊な薬品が必須であり、一部の脳神経外科専門病院以外では事実上困難であり、誰もが手軽に検査を受けられるような社会環境ではありませんでした。今回紹介する方法は最近開発されたパーフュージョンCTによる手法です。これについて、どのように検査をすすめるのか具体的に説明してみましょう。患者様にCT室に入室してもらい、少量の造影剤を肘静脈又は前腕静脈に自動注入器で注入し、同時に脳のダイナミックスキャンを開始します。シネモード、1秒スキャンで同一断面を40回スキャンします。スキャンと同時にこのデーターをコンピュータソフトで解析し、局所脳血流量、局所脳血液量、平均通過時間を計算します。これにより測定誤差や個人差の少ない脳血流状態が把握されます。急性期の脳梗塞の場合はこれまでは通常のCTでは画像として認識されなかったのですが、これによりますと梗塞部位がカラー画像できれいに描出されます。次に、脳の動脈の状態を把握するために、この検査に引き続きCTアンギオグラフィー検査を行います。造影剤を注入して1mm厚、0.7秒スキャンで40スライス撮影を行います。このデーターをコンピューター処理しますと脳の血管の3D画像(立体画像)が作成されます。これにより血管の閉塞があればその部位が、さらに動脈瘤等があればその形状が描出されます。これらの一連の検査はCT室に入室してから退室するまで15分以内であり、実際にレントゲンを照射してスキャンする時間は合計100秒程度です。こうした脳血流の異常な部位を描出し、脳血管の三次元画像を簡易に作成出来る精査は従来のCT検査ではなし得なかったものです。この検査は治療方針の決定の際だけでなく、急激に重症化する可能性のある患者の選別においても、専門病院へ搬送すべきかどうか決定する際に非常に有用であると考えられます。こうした判定は、これまでは高度の特殊設備を備えた脳神経外科、神経内科専門医がいる病院でないと非常に困難だったのですが、一般病院においても今後重要な検査方法となる可能性があります。今回紹介した検査は、高齢化社会を迎え、脳梗塞の発症急性期に脳血流検査を行い、細心かつ積極的に診断、治療をすすめることことがますます患者本人や地域社会の利益につながるわけですから、大きな意義があるのではないでしょうか。神経症状等少しでも気になる症状が発生したら、健康保険で精査できますので、悩んでいないで早めに検査を受けてみてはいかがでしょうか。