Q1、ヘリカルCTやマルチスキャンヘリカルCTが最近話題になっています。従来のCTスキャンとどのように違うのでしょうか?。

 

A、CTスキャンはレントゲンとコンピューターを組み合わせた装置でスキャンし、人体の輪切り状の画像を作成する検査装置です。肺癌の検診の場合を例に説明しますと、呼吸を止めた状態で、胸部の360度一回転のスキャンを行います。一呼吸の後、患者さんの乗った台を少し動かし、次のスキャンを行います。5ミリから8ミリ位ずつ台をずらしながらこれを繰り返していくため、けっこう時間がかかり、呼吸の制限もあり、検査の最中は体を動かせないので、高齢の患者さんの場合肉体的・精神的負担はかなりのものがありました。ところが、ヘリカルCTは従来のように一回転ごとに1枚の画像を作成するのではなく、装置を連続回転したままで患者さんの乗った台をスムーズにスライドさせながら一気に連続したデーターを記録します。また、従来のCTや通常のヘリカルCTでは一対のレントゲン発生器と検出器で上記のスキャンを行いますが、マルチスキャンのヘリカルCTでは複数対の検出器でヘリカルのスキャンをしますので、さらに短時間で高密度のデーター収集が行えます。従来のCTではスキャンした部分に病変部分がピタリと一致すれば病変として認識されますが、肺癌の検査等で数ミリの小さな早期癌の場合は前後のスキャンの間に病変が隠れていると、画像として認識されませんので、結果として癌を発見できないということになります。この点ヘリカルCTですと連続した螺旋状のスライスデーターとして記録されますので、小さな病変を見落とす恐れは非常に少なくなるわけです。さらにマルチスキャンのヘリカルCTですと一回の検査で収集できるデーターの量が膨大になるため、そのデーターをコンピューターで処理する事により、これまでに出来なかった次にあげるような検討が可能となりました。それでは、マルチスキャンヘリカルCT検査の優れた特徴を解説致しましょう。

 

   @画像の作成間隔が従来は5mm前後だったのに、高精度スライス0.6mm幅のスキャンが可能になりました。このため小さな病変でも見落とす恐れが非常に少なくなりました。

 

   A従来のCTでは人体を輪切りにしたような横断像の作成以外はできませんでしたが、こちらでは横断像、縦断像、水平像、垂直像の4方向の画像描出が可能になりました。しかも、関心領域の全ての断面に連動して4方向画像が描出されるので、臨床診断に極めて有用な効果を発揮します。

 

   B従来は横断像一方向の平面画像きり作成できませんでしたが、データーを瞬時に3次元解析を行うことにより立体的に見える画像を作成できます。これにより人体を実際に透かしてみているような検討が可能になりました。

 

   C同様な解析により、従来は不可能であった気管支や血管や消化管の管腔内の内部の様子を内視鏡で観察しているような画像を作成して検討することもできます。これにより、侵襲を加える他の検査を省略出来るため、患者様の肉体的・経済的負担がずいぶん軽減されます。 スキャンして得られたこうした画像や瞬時に作成された解析画像は診察室のビュワーモニターで即座に観察したり加工が可能なため、患者様とお話をしながら確認説明が可能です。そのうえで直接カラープリンターでプリントアウトしてデーターを提示することが可能になりました。 このように優れた特性を有しているため、脳・甲状腺・肺・肝臓膵臓胆嚢・泌尿器・生殖器はもちろんのこと、従来MRIの方が若干画像が良いとされていた頸椎・腰椎・骨盤・神経系の広範囲の疾患の解析にも威力を発揮することが期待されます。これは高機能CTですが検査費用は従来のCTと全く同じです。疾患があるのかどうか心配な方は悩んでいないで最初から高精度の検査を受けることをお勧めいたします。