乳腺専用に開発された特殊なレントゲン装置と高感度の専用フィルムを使って撮影する乳腺のX線撮影です。非常に微細な所見を検出して判定します。そのため、撮影装置は一般の胸部撮影などと異なり高い精度が要求されます。厳しい使用基準が定めれており、それに合格した専用機器を用いて、訓練を受けた医師や放射線技師が撮影を行うよう定められています。診断はマンモグラフィー判定の講習を終了し、試験に合格した医師が行います。

 

   乳癌の早期発見の切り札として「マンモグラフィー検査」が注目されています。検査でどの程度乳癌が発見されているのかと言ったお問い合わせがよくありますので、当院の例を参考にもう少し解説してみましょう。

 
  マンモグラフィーとは?

   マンモグラフィーは、乳腺専用に開発された特殊なレントゲン装置と高感度の専用フィルムを使って撮影する乳腺のX線撮影です。乳房は胸壁外側に存在しており、周囲を脂肪組織に包まれた柔軟な組織のため、小さな癌病巣が存在しても通常の胸部撮影のようなX線撮影では病変は描出されません。撮影装置の平らなプラスチック板で乳房を圧迫するようにして撮影します。圧迫して乳房を少しでも薄くすると、正常の乳腺と乳癌のコントラストがはっきりして、乳房内部の様子がよくわかるようになります。「乳房を圧迫すると痛いのでは? 乳房に傷が付かないか?内出血しないか?」との質問が多いのですが、敏感な圧力センサーが内蔵されおり、設定された安全な圧力以上にならないよう自動的に圧迫が回避される仕組みになっていますので全く心配ありません。

 
  どのような撮影を行うのでしょうか?

   乳房は内側上方の固定部と、それ以外の可動部がありますが、可動部を十分に引き出して装置に密着させる必要があります。まず装置を斜めに回転させて右腕を持ち上げる体位で内外斜位方向撮影を行います。これにより、右乳房上外側、後方(背側)の乳腺組織が撮影されます。次に装置を垂直にして右腕を降ろした体位で頭尾方向撮影を行います。これにより、先の撮影では描出しにくい乳房中央内側寄り、外側の一部が撮影されます。  どのように判定を行うのでしょうか?
 マンモグラフィーは非常に微細な所見を検出して判定します。そのため、撮影装置は一般の胸部撮影などと異なり高い精度が要求されます。厳しい使用基準が定めれており、それに合格した専用機器を用いて、訓練を受けた医師や放射線技師が撮影を行うよう定められています。診断はマンモグラフィー判定の講習を終了し、試験に合格した医師が行います。こうした条件下で、カテゴリー1から5までの判定を下します。カテゴリー1は「異常なし」、カテゴリー2は「良性」、カテゴリー3は「良性、しかし悪性が否定できないもの」、カテゴリー4は「悪性の疑い」、カテゴリー5は「悪性」となっています。カテゴリー3以上ですと、さらにCT検査、MRI検査、生検等の精査が必要になります。

 
  実際にマンモグラフィー検査ではどの程度乳癌が見つかっているのでしょうか?

 当院では昨年よりマンモグラフィー装置を採用して精査を行っています。昨年はマンモグラフィーを受けられた方のうち1.69%に、今年は10月までの集計で3.42%に乳癌が見つかっています。この数字はカテゴリーWまたはXの判定が出たため、さらに超音波検査やCT検査等で精査を行い、最終的に組織生検を行い乳癌の確定診断がついた例の割合です。カテゴリーVの判定で経過観察中または再検査予定の症例は10%以上あることを考慮すると、乳腺疾患は以外に多い疾患であることがお判りいただけると思います。
 比較的初期の乳癌は疼痛等の自覚症状は全くありませんし、進行してある程度の腫瘤を形成して来ないと触診してもまず判りません。最近の研究では視診・触診での乳癌検診を行っても乳癌を早期発見し死亡率を減少させるのにほとんど役に立っていないことが明らかになっています。マンモグラフィーでは体の外側からの視診や触診では触れない微細な乳癌が画像として描出されるため、欧米ではマンモグラフィーを使った乳癌検診が常識です。乳癌の早期発見には先ず意識改革が必要でしょう。

 
 
 

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