「以前胃カメラ検査を受けましたが、どうしても飲み込めずにとても辛い思いをしました。何とかならないでしょうか。」
 一世代前の内視鏡装置は胃の中を照らすための光を誘導するガラスファイバーと先端のレンズでとらえた画像を外に装着したカメラに送るためのガラスファイバーとが内臓されており、胃内腔の画像をカメラのフィルムに直接撮影する仕組みになっていました。このころの装置は飲み込む部分の直径は人差し指ほどの太さがあり、比較的硬い材質で出来ていたので、カメラ先端を咽頭から食道へと押し込む際に強く圧迫されるため非常に不快で、飲むのに苦労する方がずいぶんいらっしゃいました。検査医も小さな画面をのぞき込みながらの撮影で、病変を探すのに本当に苦労したものです。そして撮影したフィルムを後に現像してから拡大鏡で観察して検討していました。
 最近の装置は画像を写真フィルムに撮影するのでなく、先端に内蔵した小さなテレビカメラ様のCCDで画像をとらえ、電子的に記録する仕組みになっています。それと処置のための装置と観察のための光を照射する細い光ファイバースコープとで構成されています。今日ではこうした仕組みのスコープが一般的で、直径は8〜9ミリほどのものが多く使われており、以前と比較してずいぶん検査の苦痛は少なくなっています。それでも内視鏡の直径はできるだけ細い方が検査が楽なわけで、最新はついに先端径5ミリの極細の内視鏡が開発され、当院ではこれを用いて検査を行っています。この内視鏡は全体が柔らかく出

来ているので、飲み込む努力をしなくても楽に入りますので、苦痛は著しく改善されました。極細で柔らかいため、不快な咽頭麻酔をしないで検査を進めたり、口から飲み込むのに抵抗がある場合は、鼻腔から挿入することさえ出来ます。こうした方法は従来の装置では考えられなかったことで、呼吸が楽なので会話も可能ですから、デイスプレーに映し出される動画を患者さんと一緒に見ながら、検査を進めることもできます。この画像は電子的な画像情報のため、怪しい所見がある場合は観察しながらオリジナルの画像に電子処理を施し、構造強調画像や高コントラスト強調画像や拡大画像を作成し記録することも出来ます。

 

     それではこの装置を用いてどの様に検査や処置が行われるのかを説明しましょう。摂取した食事が消化されて胃内腔が空になるのに通常10時間前後かかります。そこで検査を受ける際には次の注意が必要です。「検査前日の夕食は午後8時までには済ませて下さい。透明な水分(お水・お茶・番茶・ポカリ・少量のお酒等)でしたら検査直前まで摂取して問題ありません。 牛乳・ヨーグルト等胃内腔が濁るようなものは避けて下さい。当日は食事を食べないで来院して下さい。(歯磨き、前記の透明な水分の摂取はけっこうです。) 空腹での使用制限のある薬(糖尿病薬等)や胃薬・下剤以外の常用薬(降圧剤等)はいつものように飲んで下さい。」
 必要な時間は通常のスクリーニング検査ですと前処置に5〜10分、実際に内視鏡を挿入して記録するのに2〜3分です。内視鏡を咽頭から喉頭へとすすめ、声帯ポリープや喉頭癌が無いかを観察しつつ食道をへて胃内腔さらに十二指腸へと挿入します。病変の疑われる場合は内視鏡先端から特別な色素を散布して粘膜の染色を施したり、先に示した画像の電子処理をしたりして注意深く観察します。怪しい部分が有ると内視鏡先端から小さな鉗子を出して組織の採取を行います。これにより癌細胞の有無や胃潰瘍や胃癌との関連で最近話題になっているピロリ菌の感染の有無が判明します。胃潰瘍等からの出血がある場合は止血剤の散布や電気凝固さらに止血鉗子を用いての止血処置を行います。ポリープがある場合は内視鏡先端から突出する特殊な装置を用いて切除します。こうした通常の検査以外に内視鏡で出来る特殊な処置として、誤って飲み込んだ入れ歯や縫い針等の異物を鉗子でつかんで胃から引き出したり、喉頭や食道に刺さってしまった魚の骨を抜き取ったりするようなことも行われます。このように最近の内視鏡装置は優れた機能を有しています。従来のバリウムを用いての胃透視検査では判らないような微細な病変の観察が可能です。従来の検査より遙かに楽になっていますので、心配な方は悩んでいないで是非検査を受けることをお勧めいたします。

 

電子内視鏡実例

 

 
 

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